2014年11月30日日曜日

Dzhavanshir Kuliyev「I'll have you thrown into a tiger's cage!」

アルメニアのSergei Paradjanov監督による映画のサントラ「Ashik Kerib」から。アゼルバイジャンの民族音楽とテープ音楽をミックスさせたかのような、独特なエクスペリメンタル・トライバル・フォークに呆気にとられてしまう。

2014年11月29日土曜日

Yuri Morozov「Human Extinction」

ソ連のジミヘンとでも呼ぶべきサイケデリック・ギタリストによる79年リリースのアルバムは、方向性の全く読めないアシッド電子音楽。共産主義政権下のソ連において、これほどまでに自由奔放な音楽が創られていたことに驚かされる。

2014年11月28日金曜日

Baccille「Howl, Youth Pigs」

オランダのレーベルZimbo Tapesより1982年にリリースされたテープから。ダブ的なエフェクトをかけたかのような歪な音をしたパーカッションがひたすら打ち鳴らされる奇怪なミニマル・ミュージック。

2014年11月27日木曜日

Primal Scream「Screamadelica」

アンビエントやハウスといったリリース当時、趨勢にあった音楽を巧みに取り込みながらも圧倒的なオリジナリティを醸し出し、時代の呪縛から解き放たれることに成功した稀有なアルバム。Primalの聴くべき盤は本作と「Vanishing Point」である。

2014年11月26日水曜日

ニューナンブ(9) 「不図〜小山博人とは何ものだったのか」

                                                  Text:Onnyk

<プロト・シアター>(新宿区高田馬場)にて開催されたイベントのレビュー。
 

「不図」と書いて「ふと」と読む。「図(はか)らずも」という意味になる。この変った名前の企画は、小山博人氏という或る人物の追悼のために計画された。こやまひろひと、と言ってすぐ思い出せる人は多くはないだろう。

享年58。還暦を前にして八王子の自宅での孤独死だった。死因は脳梗塞。最初の発症ではなかった。決して有名人ではないが、東京を中心として一部の前衛的、実験的な芸術活動に関わる人々には知られた名前だった。職業的芸術家でもなく、批評家として食べていたのでもない。しかし、あの小山が認めたと言えば「それはちょっとしたもんじゃないのか」と思わせるほどの鑑識眼を持っていた。

Jon Mueller「Hearts」

Pele、Volcano Choirなどを渡り歩いてきたパーカッショニストによるアルバムから。スラッシュメタルを思わせるドラムの連打と反復する密教的な男性コーラスを組み合わせた、Terry RileyミーツJajouka的なミニマルは気が狂いそうなほどのトランス感覚に溢れている。

2014年11月25日火曜日

Xeerox「Recuerdo Espectral de un Viejo Decorado Electrico」

バルセロナのレーベルAnòmiaからリリースのカルト・スパニッシュ・ジャンク/インダストリアル。ささくれ立ったノイジーなギターを中心にGlen Blanca辺りを彷彿とさせるミニマルかつ硬質なビートも登場するその音楽性は、同時代にリリースされた「No New York」と同じベクトルを向いているが、よりシュールな様相を呈している。これは強力。

2014年11月24日月曜日

Eric Copeland「Logo My Ego」

Black Diceメンバーでもある音楽家による、L.I.E.Sからリリースの12インチ。サイケデリックな感覚に彩られたエクスペリメンタルなビート・ミュージックが展開していく。ジャンルの壁を超え、自分にしか出来ないオリジナリティ溢れる音楽を作ろうとする気概に感服させられる。

2014年11月23日日曜日

La Morte Young「Untitled」

まるでLa Monte Youngのパロディのような名前をしたフランスのグループ。演奏はドローンではなく、不失者、Swans辺りからの影響を感じさせるノイジーなインプロヴィゼーション。Cyril M.といい、現在のフランスの即興シーンは面白い。

2014年11月22日土曜日

Ak'chamel, The Giver of Illness「Rebirth」

何やら怪しげな衣装を身にまとったテキサスのグループによるトラック。苦悶を感じさせるダミ声と非常に簡素な弦楽器とパーカッションの音による、プリミティブかつ呪術的な演奏が続く謎のリチュアル・ミュージック。今後に注目したいグループ。

2014年11月21日金曜日

Budamunky「Drop」

初っ端からファンキーなSylvia Striplin "You Can't~"を使ってアゲて行くのかと思いきや、ダウナーなモードに終始するイルなトラック。Wordsound辺りのファンにも聴いて欲しい。

2014年11月20日木曜日

LL Cool J「Around the Way Girl」

自宅への不法侵入者を返り討ちにして話題にもなったLLの代表曲の一つ。Mary Jane Girls「All Night Long」のコーラスを早回しにしてサンプリングした手法は、Kanye West「Through the wire」のルーツのごとし。

2014年11月19日水曜日

Montibus Communitas「Verðandi」

ペルー出身のグループによる100部限定テープから。70'sヘヴィ・サイケとラーガを融合させたかのようなオリジナリティと酩酊感を合わせもった音楽性は、Guardian Alien辺りが好きな人に聴いて欲しい。

2014年11月18日火曜日

Joanne Grauer「Who I Am」

15歳でプロデビューしたという早熟の女流ピアニストによる74年リリースの自主制作盤から。Joanneのアンニュイな声に彩られたこの曲は、Velvetsの「Sunday Morning」と並ぶフィメール・ヴォーカル・ナンバーの名曲。

2014年11月17日月曜日

Momonjah meets Ras Dasher「Mann Got Dubber」

本ブログでニューナンブなどを執筆しているOnnyk氏もサックス、フルートで参加の盛岡のダブ・バンドのファースト・アルバムから。うねるファンキーなベースもクールな本格派ダブを披露している。

2014年11月16日日曜日

Flip Nunez「See you later」

フィリピン系アメリカ人ピアニストによるジャズ・バラードは、Kellee Pattersonもカバーしたナンバー。演歌的とも言える情感のこもったヴォーカルが中心となり、まろやかな響きのギターやコズミックなエレピなどが一体となって一つの宇宙を創り上げている。Madlib、あるいはStonesThrowのファンにも聴いて欲しい一曲。

2014年11月15日土曜日

Fille Qui Mousse「Se Taire Pour Une Femme Trop Belle」

フレンチ・カルトグループによるサイケデリック・ロックからドローンまで、ありとあらゆる奇怪な音楽を詰め込んだ怪作。Pierre HenryとSpooky Toothのコラボレーションアルバム、あるいはESPからリリースされたCromagnon辺りを彷彿とさせる。

2014年11月14日金曜日

Suton「The Sun has Turned to Black」

ボスニア・ヘルツェゴヴィナのベニャ・ルカという都市出身の若手グループによるElectric Wizardのカバー。感情を捨て去ったマシナリーなヴォイスが強烈なインパクトを残す。来年にはリリースされるというスプリットEPを早く聴いてみたい。

2014年11月13日木曜日

Duane Pitre「Section V」

ポストハードコア・バンドのギタリストから作曲家に転じたアーティストによるアルバムから。La Monte YoungやTony Conradといったドローンのパイオニア達からの影響を感じさせる筋金入りのドローン。

2014年11月12日水曜日

Eliane Radigue「Kyema」

ドローン・ディスクガイドなるものが出版されたら確実に掲載されるであろう3枚組CDの1枚。徹底的に無駄を削ぎ落としたドローンだが、女性らしいたおやかな響きが沁み渡る。

2014年11月11日火曜日

Battle Trance「Palace Of Wind I」

循環呼吸法を用いて4本のテナーサックスを吹きまくる重厚かつ熾烈なサウンドは、あたかもTerry Rileyとハードコア・パンクが融合したかのよう。Arrington de dionysoファンに聴いてほしい。

2014年11月10日月曜日

v.a.「Hi Fidelity Dub Sessions: Chapter 1」

Guidanceからリリースされた、ダブの隠れた名オムニバス。まるでMIX-CDを聴いているかのように、ダウンテンポやアブストラクトともリンクした緩やかなダブを堪能できる。

2014年11月9日日曜日

Cyril M.「Diffraction」

Text:Onnyk

カセットというアナクロなメディアは今、また注目されている。今、音楽を楽しむツール としては、スマホにダウンロードした音源をスピーカやヘッドフォンに繋ぐというのが通 常だろう。ちょっと前ならMP3の専用プレーヤーだった。それがパームトップコンピュー タというべきツールに集約された。今度はウェアラブルなツールになるだろうし、そのう ち体内にインプラントされるのだろう。歯でかちかちっと咬みならして操作するとかね。

Pauline Oliveros & Randy Raine-Reusch「Silence Echoes」

アジアを中心に世界中の民族楽器を演奏するマルチプレイヤーと、米寿を超えた今も現役で活動する女流アコーディオン奏者とのデュオ。意識をまどろませる催眠的なドローンと、ベトナムの一弦琴ダン・バウの繊細な響きが混じり合ったサウンドに引き込まれる。

2014年11月8日土曜日

Pete Rock「Roy Ayers Tribute Mix」

Sylvia Striplin "You Can't Turn Me Away"から始まるミックスはRoy Ayersへのトリビュート。自身のトラックも交えたヒップホップを軸にスムースに、セクシーに展開していく。匠の技が濃縮された好ミックス。

2014年11月7日金曜日

Software「Island-Sunrise」

88年にKlaus Schulze主宰のレーベルよりリリースされたアルバム。スローに、ムーディに展開するバレアリック/アンビエントナンバーはQuiet Villageファンにも聴いて欲しい。

2014年11月6日木曜日

Rezzett「Yayla」

先日のDommuneでのDJも最高だったロンドンのプロデューサーによるトラックはインダストリアルともリンクしたロウ・ハウス。切れ味鋭いノイズが何とも耳に心地よい。

2014年11月5日水曜日

Hototogisu + Burning Star Core「Untitled」

容赦の無い不協和音が放射され続ける中にうっすらと聴こえてくるメロディ。もし、My bloody valentineと非常階段が合体して「My bloody階段」を結成したらこんな感じの音になるのだろうかと想像してしまう。

2014年11月4日火曜日

The Bug vs Earth「Boa」

Earthがシンプルなギターリフとドローンで空間を形作り、The Bugが重厚なビートを打ちつける。そのサウンドスケープは往年のTechno Animalを思い起こさせる。

2014年11月3日月曜日

Kellee Patterson「Don't Misunderstand」

Theo ParrishによるMIX-CDも話題になったレーベル、Black Jazzよりリリースされた永遠の名盤「Maiden Voyage」から。幻想的なフルートや、メランコリックなエレピが響く中、一点の曇りも無いKelleeのヴォイスが堪能できる。

2014年11月2日日曜日

Stoner Dub Trio「Halo Dub」

バンド名の通り、ダブとストーナーをミックスさせたかのようなロックを展開するグループ。Blind Idiot God辺りのファンに聴いて欲しい。

2014年11月1日土曜日

Bohren & der club of gore「Piano Nights」

"スローなジャズ・バラードとBlack SabbathとダウンチューニングしたAutopsyの非神聖的アンビエント・ミクスチャー"とバンド自身が述べるそのサウンドは、孤高のハードボイルド音楽とでも言うべきムードと深みをたずさえている。知名度では劣るが、現在のエクスペリメンタルなドゥーム/ドローン・シーンを考える上でSunn O)))と同じ位に重要なバンド。